まずはこちらの記事をご覧ください。これに対する個人的な見解を述べます。あくまでも個人的な見解です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9c16e8dd8bf5f5762fded7b25a40502a119ec1e6?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20250910&ctg=dom&bt=tw_up

簡単に説明すると、短期滞在の中国人が2022年にがん治療を受ける。その時に病院からは自由診療となるので、保険適用時の満額の300%に相当する675万円の支払いが必要ですと言われ、了承して治療開始。

その後、患者は中国に帰国後死亡、日本にいる遺族が日本人なら保険診療の10割負担だとしても225万だから金額がおかしい!それ以上の金額は支払わないと病院を訴える

ここでXを見てみると、自由診療だから当然だや、3倍はいくらなんでもぼりすぎなど様々な意見があります。この話をちょっと整理してみましょう。

保険診療と自由診療の違い

まず、大きな誤解を生じてそうな部分があります。それは保険診療の10割負担=自由診療と考えている人が一定数いるということです。

保険診療と自由診療はまったく別のもので、両立しえないのです。

まず、大前提として医療とは病院側が本来勝手に値段をつけていいものであり、それが自由診療です。例えば風邪をひいたときにA病院だと1万円かかるけど、B病院だと5000円です、というのが許されます。

しかしそれだと、いくら払うのかもよくわからない、安定した医療を受けれるかもわからない・・・そういった問題が発生します。そこで国主導となって制度を整えたのが保険診療となります。

具体的には一定の質が担保された治療のみを対象として、支払金額の上限を設定することで安定して安い医療を実現したものです。そして個人の負担を抑えるために、7割相当分制度を整えるためのお金は社会全体で負担しましょうと決めたのです。

当然ですが、保険に加入している人限定の制度です。ただ制度の建前上、日本人はすべて加入していることになっています。なので、日本人であればまったくお金を払っていない人も、社会全体で取り立てを行うことで、まったく同じ待遇を得られるのです。

混合診療の禁止

ここで病院としては、保険適用分は保険診療で、それ以外は自由診療で自由に請求しますとなると、制度上確認に途方もないコストがかかるし、悪用する人もたくさん出ることが容易に想像できます。だから、いったん保険診療と決めたら保険診療しかできません、自由診療ならそういった制限がないので自由にして下さいとなります。

では保険診療対象者であるとの確認ができなかった人の扱いをどうするか、ですが、これは簡単でいったん保険適用範囲内の治療をして、形としては自由診療にします。そして、後日保険診療対象者であることが確認を取れたら保険診療に切り替えをして、差額を返金するというものになります。

支払金額の違いがなぜ生じるか

まず、大前提として自由診療であるので、値付けは病院が自由に行います。そこで社会的な属性による支払金額の違いが有効かという話となります。これは社会ではおおむね合理的な範囲内であれば認められています

よくある例としては、自動車保険の等級による支払い額の違いや、ローンを借りるときの金利がいくらになるか、もっと踏み込めば相席居酒屋における男女間の料金格差などです。これらはおおむね問題ないものとして受け入れられています。

今回の件でいえば、病院側が日本国籍を有する人間には一定の信用があると判断すれば、その人は自由診療でも安くなることがあるし、日本国籍なんて信用に全くならんと思えば、3倍になることだってあります

今回の件を突き詰めてしまえば、わがままをいっている

今回の件を身もふたもないたとえ話にしてします。まぁちょっと違いますがこんな話だと思ってください。

Aさんは近所の八百屋さんでキャベツを1個300円で買いました。Aさんは最近引っ越してきたばっかりで初めて八百屋さんを利用します。するとそこにBさんがやってきて、同じキャベツを買いました。そしたら八百屋さんが、「いつもありがとうね。100円でいいよ」と言いました。それをみてAさんは、同じキャベツを買ったのに値段が3倍違うのはおかしい。100円は支払ってやるけど、残りの200円は払わないと言い出し始めました。返品なんて当然しません。

これを見てAさんが今後八百屋さんを利用しなくなるのは自由だし、常連になれば同じようなサービスを受けられるかもと思うのも自由です。しかし、Aさんが初めてこの店を利用するけど、常連と同じサービスでないのは差別だ、訴えてやるとなると、ちょっとおかしい人です。突き詰めると、キャベツを同意のうえで買ったけど、常連さんは安くしてもらっていたのでやっぱりお金は全額払わないと言い出す、つまりわがままなのです。

この手の人は自分の要求を通すために差別という言葉をよく使います。自分は差別を受けた弱者であると主張することで、有利な地位を手に入れたがるのです。みなさんも差別だと叫ぶ人には注意しましょう。