この物語はフィクションです。何かに似ていると思ってもそれは気のせいです。
私の名前は皆野大家(みなのおおや)だ。仕事を始めてからお金のあれこれというブログに出会い、そこの投資初心者講座に従い、オルカンの積み立てを行った。それからしばらくは存在すら忘れていた。ふと確認したら口座残高が3500万を超えていた。この時から私の頭にFIRE、つまり早期退職のことがちらつくようになった。
具体的にどうするのか・・・。今までお金のあれこれというブログの通りにやっていただけなので、投資経験は全くない。しかし、FIREのためにはより高効率でお金を作っていかなければならない。そして配当だけで生活できるようにする必要があった。よく考えると3500万を投資で作り上げた男だ。成功への経験値はそこら辺の若造とは違う自信があった。
そして本格的に投資について調べた。「投資 もうかる」「投資 高配当」などの検索ワードを駆使し、一つのHPに行きつくこととなった。それが不動産クラウドファンディング「みんな大家さん」だ。偶然にも私と同じ名前だ。親近感も持てる。事業内容なんてまったく分からなかったが、なんでも賃貸業をしてその収益を配当に充てるものであり、解約すれば元本がまるまるもどってくるようだ。つまり、安全に配当だけもらい続けられるということだ。
しかし、私は賢い自信がある。念のため「みんな大家さん 安心か」などで検索をする。そうするとブログがいくつもヒットする。それらに共通することは、「安全安心である」ということだ。これだけ多くの人が口をそろえていいものだということはいいものなんだろう。事前調査も完璧にこなし、いざ投資へと移ることとなった。
事前に完璧な調査をし、信用できるという情報をつかんでいたが、それでも詐欺だったどうしようという考えが頭にちらつく。そこで最初は1口、100万だけ投資をし、本当に配当がもらえるか確認することにした。数年かけて配当が問題なくもらえるようならちょっとずつ口数を増やしていけばいいという判断だ。
「みんな大家さん」は1年間に6回配当を出すようで、年間で7%が配当として出されるようだ。つまり1回あたり1万円ちょっとが入ってくる計算となる。事業内容はなんでも都心の空港近くの土地を丸ごと買い上げて、そこを整備し、貸し出しをすることで賃貸収入を得るというモデルのようだ。何を言っているのかよくわからなかったが、市が開発許可を出しているし、信用できるに違いない。こんな大きなプロジェクトに関われるなんて、自分が一回り大きな人間に成長した気がした。
それから数か月がたち、初めての配当がきた。ちゃんと1万円ちょっと振り込まれている。感動した。初めての不労所得だからだ。気分は敏腕な投資家という感じだ。しかし、このままだと2か月に1回しか配当が来ない。そこで募集を見ると、新しい募集が出ていた。これを買えば毎月配当が来るようになる計算だ。天啓だと感じた。今度はいままで積み立ててきたオルカンを一部解約し、500万円分投資することにした。配当もちゃんときたし、信用できると直感したからだ。
それから数か月たち、偶数月には1万ちょい、奇数月には6万くらいはいるようになった。正直1万だと少なすぎて実感が全くわかなかったが、6万ともなるとかなりできることが増える。そうなっくると、偶数付きが1万ちょいというのは少なすぎると感じるようになった。家族からは怪しい話だし、やめなさいと言われたが、あいつらは投資の素人だ。プロで配当をもらっている私のほうが詳しいし、賢い。余計なお世話だと言ってやった。
気づけば毎月の配当が違うとバランスが悪いという理由で偶数月にも4口400万円を追加し、わずか半年ちょっとの間で1000万円をみなの大家さんに投資していた。年間配当は70万にも及び、自分自身の年収を引き上げてくれる力を感じた。これだけ配当もらっているサラリーマンは世の中にどのくらいいるのか。少なくとも自分の周りにはいない。自分の人生が開かれていくのを強く感じた。気が付くと、オルカンを完全解約し、いつ大家さんに乗り換えるかばかり考えるようになってきた。
ここ最近は、3500万を大家さんに完全に移せば、年間配当だけで245万円。目標であるFIREに大きく近づくことになる。そればっかりが頭の中をぐるぐると駆け巡るようになる。
そして最後の一押しをする魔法のようなキャンペーンが始まることになった。